所得控除や税額控除を受けるには
1 所得控除とは
所得税は、課税所得金額に税率をかけて金額を計算します。
税率をかける前の課税所得から差し引かれる金額のことを、所得控除といいます。
代表的な控除として、社会保険料控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付金控除などが挙げられます。
社会保険料控除では、支払った国民健康保険料や国民年金保険料といった社会保険料の金額が控除されます。
医療費控除では、その年に支払った医療費のうち、一定金額を越える部分について控除され、上限は200万円です。
生命保険料控除では、その年に支払った生命保険料、介護保険料、個人年金保険料から、一定の計算により算出された金額が控除されます。
地震保険料控除も、生命保険料控除と類似の控除となります。
寄付金控除では、ふるさと納税の場合は寄付した金額から2000円引いた金額が控除されます。
寄付金額の上限は、所得金額によって変わってきます。
参考リンク:国税庁・所得控除のあらまし
2 税額控除とは
所得税の金額は、課税所得金額から各種所得控除を差し引き、税率を掛けることで算出されます。
ここで算出された税額から、さらに控除することができる仕組みを、税額控除といいます。
税額控除には、配当控除や外国税額控除のように、実質的には二重に課税されている状態を防ぐことを目的とした控除があります。
他方、社会政策的に住宅ローンを推奨するために、住宅借入金等特別控除といった制度もあります。
参考リンク:国税庁・税額控除
3 所得控除と税額控除の違い
所得控除により減額される税金は、所得控除そのものの金額に税率をかけた後の数字となります。
所得控除については、その金額分だけ税金が少なくなると誤解されている方もいらっしゃるので注意が必要です。
例えば、所得が500万円の方の税率は20%で、支払う所得税額は約58万円となります。
所得控除が20万円の場合には、480万円が所得となり、所得控除で差し引かれた20万円に税率の20%を掛けた金額、4万円について、税金が抑えられます。
税額控除が20万円の場合、約58万円の所得税額から直接差し引かれますので、支払う所得税額は約38万円となります。
このように、所得控除と税額控除は、似ているようでまったく異なる制度です。
4 税額控除や所得控除を受けるには
税額控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
所得控除の場合は、確定申告が必要な控除もあれば、必要ない控除もあります。
例えば、基礎控除は確定申告の必要がありませんし、地震保険料控除、生命保険料控除等は年末調整をしていれば確定申告で行う必要がありません。
その一方で、医療費控除は確定申告が必要となります。
所得控除を受けるために確定申告が必要かどうかご心配な方や、税額控除を受けるために確定申告を検討されている方は、税理士にお気軽にご相談ください。
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