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青色申告と白色申告の違いは何ですか?

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2024年4月16日

1 所得税の申告の種類

税務署に所得税の申告をする場合、青色申告と白色申告のどちらで申告するかを選ぶ必要があります。

どちらを利用するのがよいか迷う方もいらっしゃるかもしれません。

そもそもどのような条件で利用できるのか、どれくらいの金額が控除されるのか、必要な書類は変わるのか、優遇措置はあるのか等、それぞれにどのような違いがあるか説明をしていきます。

2 青色申告と白色申告の控除額の違い

⑴ 青色申告は特別控除を受けられる

青色申告の場合、最大で65万円の特別控除を受けることができます。

ただし、この最大65万円の特別控除を受けるためには、いくつかの条件があります。

まず1つ目は、申告期限内に申告をするということです。

期限後に申告をすると、10万円の特別控除しか受けられないことになります。

次に、65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記で帳簿をつける必要があります。

簡易簿記・現金式の簡易簿記の場合は、10万円までしか控除を受けられませんので、この点にも注意が必要です。

⑵ 事業が小規模の場合は特別控除額が10万円

事業が小規模で、事業的規模に達していない場合には、10万円の特別控除を受けることができます。

白色申告の場合は、特別控除はありません。

3 青色申告と白色申告の届出書類の違い

⑴ 白色申告の届出書類

白色申告の場合は、事業開始の際に、個人事業の開業届出を提出する必要があります。

また、必要に応じて、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書、所得税の棚卸資産の評価方法、減価償却資産の償却方法の届出書を提出する必要があります。

⑵ 青色申告の届出書類

青色申告で申告する場合、上記の書類に加え、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

この青色申告承認申請書は、原則として、その年の3月15日までに提出しなければなりません。

なお、青色申告の承認を受けたからといって、必ず青色申告を行わなければならないということではなく、白色申告をすることも可能です。

また、ご家族に対する給与の支払いを事業の経費として計上したい場合は、ご家族を青色専従者として届出をする必要がありますので、こちらも、納税地を管轄する所轄税務署長に提出します。

4 青色申告と白色申告の記帳方法の違い

先に述べたとおり、青色申告で最大65万円の特別控除を受けるための条件として、複式簿記で帳簿をつける必要があります。

通常、帳簿のつけ方には、簡易簿記による記帳と複式簿記による記帳の2種類があります。

簡易簿記は、1つの勘定科目を使い、取引の目的、日付、金額を帳簿に記録するものですので、家計簿に近い感覚で記帳することができます。

このように簡易簿記が1つの勘定科目を使い目的を記録すれば足りるのに対し、複式簿記は、2つ以上の勘定科目を使って、目的と手段を記録します。

例えば、消耗品を現金で購入した場合を考えます。

簡易簿記であれば、消耗品費という勘定科目を使用して消耗品購入のために支出したということを記録すればいいのに対し、複式簿記であれば、消耗品費と現金という2つの勘定科目を使用し、消耗品を現金で購入したという記録をして、消耗品費と現金の2つの勘定科目を記録管理するする必要があります。

このように、複式簿記の方が、記録管理すべき事項は増えることとなりますので、簡易簿記と比較して、記帳の手間が大きいです。

5 青色申告と白色申告の優遇措置の違い

青色申告は複式簿記により行う必要があり、手間がかかりますが、その代わりに様々な優遇措置があります。

⑴ 青色申告特別控除

既に述べたように、青色申告をする場合は、無条件に最大65万円の特別控除を受けることができます。

⑵ 家族に対する給料

所得税法には、事業者の配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払は必要経費に算入しないと規定されているため、原則として、家族に対する給料は経費とすることができません。

しかし例外的に、一定の条件のもと控除が認められる場合があります。

白色申告の場合、生計、年齢、従事期間等の条件を満たせば、最大86万円又は50万円の専従者控除を受けることができます。

配偶者の場合は、最大86万円、配偶者以外の親族の場合は最大50万円の専従者控除を受けることができます。

それに対し、青色申告の場合は、青色事業専従者給与に関する届出書の提出をしていることや専従者給与の額が届出金額以内で妥当な金額であること等の条件を満たせば、青色専従者に対する給与を全額経費計上することができます。

⑶ 損失の繰越

青色申告の場合は、収入より経費が多く、損失が出れば、損失の出た年の翌年以降3年間繰越をすることができます。

翌年以降の利益と相殺して、利益が出た年の税金を減らすことができます。

それに対して、白色申告の場合、損失の繰越ができる場合がかなり限定され、基本的に損失の繰越は難しいとされています。

特に、事業開始の初年度は、売上よりも経費のほうが多くなってしまう傾向が強いので、開業初年度に損失が出る見込みの方は、青色申告をすることをおすすめします。

⑷ 資産の一括償却

白色申告の場合、10万円未満であれば購入した年に全額経費とすることができます。

10万円以上の固定資産は、減価償却をして、毎年経費計上できる額が決まってきます。

それに対して、青色申告の場合、少額減価償却資産の特例により、30万円未満であれば、購入した年に、全額経費とすることができます。

6 青色申告を税理士に依頼すべき理由

以上のように、青色申告と白色申告の違いについてご説明してきました。

青色申告の場合、提出する書類が多かったり、帳簿の手間がかかる等、申告が複雑となりますが、その分のメリットもあるといえます。

青色申告のメリットについては、こちらでも解説していますので参考にしてください。

青色申告を利用したいとお考えの方は、税理士へご相談されることをおすすめします。

例えば、青色申告の場合、複式簿記により帳簿を作成する必要があります。

納税者自身で一連の作業を行うことは可能ですが、事業の内容・規模によっては作業量が多かったり、税金に関する専門知識が必要になったりする場合もあります。

そのため、税理士に申告の依頼をしたほうが、時間が節約できる上、迅速かつ正確な申告をすることができます。

また、申告後に税務署から申告内容について問合せがあれば、税理士が代わりに対応することができます。

更に、青色申告は、きちんと帳簿をつけずに申告していたり、嘘やごまかしたりしていた場合には、青色申告の取消しというペナルティを受けることがあります。

このようなペナルティを受けると、白色申告扱いになってしまいますし、過去の申告を遡って調査されることもありますので、青色申告は適切に行わなければなりません。

7 確定申告を税理士に依頼したい方はご相談ください

税理士法人心は、名古屋駅から徒歩2分の場所に事務所を構えております。

確定申告を税理士に頼みたいという方はもちろん、青色申告を利用したいが、申告の仕方がよく分からないという方や、事業を始めたいので税金について相談したい方等、税に関することはお気軽にご相談ください。

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