不動産賃貸業を法人化するメリットやデメリット
1 メリット
⑴ 借入が有利になりやすい
法人化の場合は、一定規模以上の事業を行うことが多いので、銀行の融資も個人の場合よりも有利になりやすいようです。
借入を行って不動産賃貸業を行う場合は、その点、有利といえます。
⑵ 所得税よりも税金が安い可能性がある
法人税は、中小法人であれば所得が年800万円以下の部分には15%の税率、年800万円超の部分には23.2%の税率がかかります。
所得税は、課税される所得金額によって、5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%と段階的に増えていきます。
また、これに加えて住民税が10%ほどかかります。
そのため、所得が少ない場合は、所得税よりも法人税の方が税額が少なくなるというメリットがあります。
⑶ 相続税が安くなる可能性がある
個人で不動産を所有している場合は、その不動産が相続財産となります。
法人で不動産を所有している場合は、法人の株式が相続財産となります。
株式の評価方法によっては、不動産の価額よりも法人の株式の方が安く評価される場合がありますので、メリットがあるといえます。
⑷ 債務を法人が負うことができる
万が一、不動産事業がうまくいかず破産等しなければならなくなった際に、債務を負っているのが法人であれば、法人を法的に倒産させることで再起を目指すことができます。
特に、個人が税金を支払うことができなくなった場合、法的な破産を行っても税金の未払いは免責されません。
ただ、未払いになっているのが法人の場合は法人が破産によって存在しなくなることで、税金の支払いを免れることができますので、再起をはかることができます。
2 デメリット
⑴ 税額が必ずしも安くなるとはいえない
確かに、法人税率と所得税率を比較すると、法人税の方が有利な場面もあるように思えます。
しかし、法人からその法人の役員に対して役員報酬を支払うのであれば、結局、所得税がかかります。
また、法人の場合は、法人税・地方法人税、法人県民税、法人市民税、事業税などの様々な税金がかかりますので、実効税率は33~40%となることもあります。
そのため、必ずしも法人の方が負担する税額が安いとはいえません。
⑵ 法人代表者の資力も融資の際に判断される
小規模な法人の場合、融資の際には法人代表者の弁済能力があるかどうかも判断の材料となります。
そのため、法人であれば融資の際に必ず有利になるとまでは言い切れない点には注意が必要です。